ハンス・ブリンクマン(Hans Brinckmann) 作家
1932年オランダのハーグ市で生まれる。ナチスドイツ占領下のオランダで育つ。学生の頃から詩や散文を創作していたものの、終戦直後のオランダの厳しい経済状況のなか作家になる夢を捨て、オランダの国際銀行に就職。
1950年、シンガポールでの短期駐在を経て、日本に赴任。29歳で東京支店支店長、36歳でアメリカ・コンチネンタル銀行日本担当重役就任。日本文化に対する興味を深め、日蘭協会での活躍や日蘭学会の創立メンバーとして、日本とオランダの文化交流にも力を注ぐ。1974年、24年間の日本暮らしと銀行勤務に終止符を打ち、執筆業に専念するため、および日本に関する学術研究継続のためイギリスへ移住。2年後、銀行業務へ戻り、カリブ海にあるキュラソー島、アムステルダム、ニューヨークで国際銀行の要職を歴任、ニューヨークでは国際銀行協会会長を務める。1986年、日本とアメリカにおける文化的功績と社会的貢献に対し、オランユ・ナソー勲章を叙勲。
1988年、56歳で銀行を早期退職し、本格的に執筆活動を開始。オランダの有力紙ドォ・ヴォルクスクラントやNRCに日本に関する記事を寄稿。フィクション、ノンフィクション、詩、エッセイなどの創作活動を精力的に展開中。2003年より日本在住。
2008年には、友人で写真家のエイスブラント・ロッヘとの合同写真展『あるオランダ人が見た昭和の日々』を東京の富士フイルムスクエアにて開催。一ヶ月の開催期間中に約5万人の入場者を記録。翌年には神戸で巡回展示された。
溝口広美 翻訳家(日/英)
東京生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究科修士課程修了。1990年から94年まで在日アメリカ合衆国大使館商務部勤務。1999年から2年間ロンドン在住中にジャパンソサエティー(ロンドン)を通してブリンクマンと出会う。訳書に『まがたま模様の落書き - あるオランダ人が見た昭和の日々』(2005年)、『あるオランダ人の「昭和ジャパン」論』(2009年)、『終わらない一日~ハンス・ブリンクマン詩集』(2011年)など。2014年より、総合文芸誌『あとらす』(西田書店)にブリンクマンのエッセイの邦訳連載中。ハブリサイトの日本語コンテンツ(翻訳および編集)担当。
ブリンクマンのエッセイ好評連載中!
総合文芸誌『あとらす』(定価1080円)のご注文は
西田書店(電話番号03ー3261ー4509)まで
あるいは自伝、あるいは歴史考察、あるいは社会文化論として読めるThe Call of Japanは、オランダの銀行に「いやいやながら」勤めた著者が体験した昭和25年から48年の戦後の復興と高度成長に沸く日本について、さらに、平成15年から作家として暮らしながら感じる現在の日本について論じた一冊。15年前に出版された自伝The Magatama Doodleに、日本の変化と自身と日本の関わり合いの変遷を考察した2章を加えた。
自伝The Magatama Doodleの書評より。
「ただ、一ビジネスマンとして日本の復興に青春をささげたハンスの言葉は、どんな評論家とも違う説得力をもって響くはずだ」最相葉月(ノンフィクションライター)朝日新聞 2005年4月24日(日曜日)
「・・・戦後の日本の様子を生き生きと魅力的かつ明朗な文章で表現している」マーク・オースティン(ジャーナリスト)英字新聞デイリー・ヨミウリ 2005年4月17日(日曜日)
表紙の写真は、思い出の文具店(2010年代に撮影)
The Monkey Dance
Chronicle of a 12-year old Dutch boy in the Winter of Starvation, 1944/1945
by Hans Brinckmann
A5サイズ冊子35ページ
定価 700円
戦時体験をまとめた自伝。1944年から45年の冬、ドイツ占領下の西部オランダ一帯は深刻な食糧難に見舞われた。「飢餓の冬」と呼ばれ、今でもオランダでは語り継がれている。12歳の少年(ブリンクマン)は「飢餓の冬」を生き延びるため、子ども用自転車に乗って、ハーグ市までの10キロの多難な道を何度か行き来した。そこで文具店を営み、二番目の妻と暮らしていた実父に会い、彼から食料を調達するためだった。実父の家に隠された秘密や、危険と背中合わせの出来事が、本書で初めて明かされる。
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出版社 Savant Books and Publications, (Honolulu, Hawaii, USA)
出版年 2014年7月
定価 2,011円(ペーバーバック) 946円(Kindle版)
2015年 パシフィックリムブックフェスティバル文学賞選外佳作賞受賞
通算6冊目にあたるIn the Eyes of the Sonは、ブリンクマン初の長編小説。
カメラマンになる夢を抱いていた主人公ピーター・ファン・ドールン。ジャーナリストで第二次世界大戦中は報道写真家でもあった父エドワルトは、息子の夢を後押しし、戦時中に愛用したライカを与えた。
しかし、「事故死の瞬間」をとらえる代わりに、ピーターが人助けをしたことを知り、エドワルトは息子を「真のカメラマン」として通用するほどタフではない、平時ですら、自分のように「男らしくシャッターをきる」ことができないとみなし、ピーターを国際銀行へ就職させる。
1953年に母国オランダを離れ、シンガポール、そしてシカゴへ赴任したピーターは、そこで地元の社交界の華と結婚をするものの、カメラマンになる夢を捨てきれない。1978年、彼は安定した職業と家族を犠牲にし、ニューヨークでフリーのカメラマンとして生きる決意をする。2年が過ぎ、貯蓄も底をつこうとした時、「ニューヨークの黒人地区にはびこる白人の貧困」をテーマにした挑発的な個展を開き好評を得る。しかし、思いがけない出来事が、写真家として成功しつつあるピーターを巻き込む…。はたして、長い間避けてきた頑固な父親と、目と目を合わせて、和解することはできるのか。
軽快な会話とユーモア、そして情事も絡み合いながら描かれる人間ドラマ。
In the Eyes of the Sonのプレスリリース用サイト(英語)http://www.prlog.org/12354368
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ハンス・ブリンクマン(著)
溝口広美(訳)
ランダムハウス講談社(2009年)
ISBN: 978-4-270-00531-6
定価: 1995円(税込)
「日本人には気づかないユニークな昭和論!」半藤一利氏も絶賛
「昭和という時代を客観的に分析しつつ、慈しんでいるのが本書だ。日本人論、あるいは昭和史論ともいえる。」ノンフィクション作家の保坂正康氏の書評(2010年1月9日付神戸新聞)より抜粋
~書評より~
「今から4年前、ひとりのオランダ人が、昭和の日本の社会や風物、人情などを、この国での自らの半生と絡めて生き生きと描いた本が話題を呼んだ。その著『まがたま模様の落書き』の著者、ハンス・ブリンクマン氏は、昭和25年、18歳のとき母国のナショナル・ハンデルス銀行行員として来日。(省略)昭和の日本に今も限りない愛着をもつ著者だが、本書で展開されるのは単なるノスタルジー文化論ではなく、現在の状況を客観的に把握したうえで歴史を検証し、昭和とは何だったのか、日本はこれから何をめざし、どこへ行こうとしているのかへの、真摯な問いかけだ。」(2009年11月12日付『新文化』のコラム「ウチのイチ押し」より抜粋)
「郷愁的回顧への警鐘を鳴らす」 (2009年12月9日付聖教新聞の書評欄より)
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出版社 Strategic Publishers (Texas USA)
出版年 2011年10月
定価 1,490円(ペーパーバック)
2016年 パシフィックリムブックフェスティバル文学賞選外佳作賞受賞
本書に収められた5つの物語を介して、著者ブリンクマンは彼の第二の故郷である日本の奥深くへと読者を導き入れる。オランダ人ビジネスマンと日本人芸者、そして彼女の遺した愛娘をめぐる哀歌。京都で出会った謎のフランス娘とヨーロッパ中年男との妖精物語のような邂逅。愛犬家の妻と愛猫家の夫が富士山の麓で迎える重大局面のストーリー。梅の木にまつわるオランダ人外交官の淡く苦い恋物語。
そして表題作品は、日本人天才少年画家の生まれ変わりと信じるシカゴのアメリカ人法律家が京都で体験する不思議な因縁の物語。
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溝口広美訳
出版社 H2H Publishers/Trafford
出版年 2011年4月
定価 1720円(ペーパーバック) 2906円(ハードカバー) 1300円(Kindle版)
2016年 パシフィックリムブックフェスティバル文学賞選外佳作賞受賞
アムステルダムの運河をさまよう孤独な水鳥。パリ行きユーロスターの車窓から見える 「素早く通り過ぎて行く」見捨てられた村々。「きみへの思いに満ちあふれた一日を引き延ばそう」と、なかなか沈まない太陽。ブリンクマンの詩は自由奔放な生命と力にあふれ、場所も主題もさまざまだ。愛の歓びをうたいあげ、人生における取り返しのつかない喪失感をうたう。諧謔の精神を讃え、生の根源の姿を探し求める。
朝日新聞書評にて絶賛された自伝『まがたま模様の落書き』(2005)、戦後の日本 社会を論評した『あるオランダ人の「昭和ジャパン」論』(2008)の作者による本書収録 33篇の詩は、過去50年間七カ国において創作された。2000年オランダで歌曲とし て初演された「希望の丘のバラード」が本書の巻末を飾る。
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出版社 H2H Publishers/Trafford
出版年 2006年2月
定価 3,737円(ペーパーバック)
~内容の紹介~
パリに住む、気持ちだけは若くありたいアメリカ人建築家。民族紛争の渦中に現れた謎のパラシュート部隊兵。日本に赴任してきたオランダ人外交官。損得勘定に余念がないニューヨークの心臓外科医。ついに転職に踏み切ったイギリス人葬儀屋。潔癖性の妻の思い出を払拭できぬ男。15歳の天才インド人バイオリニストをひき殺してしまった子供のいない中年男。この短編集に収められた7つの物語の主人公は、誰もが危機に直面している。なんとか切り抜けることができた者。悲惨な結果を受け入れねばならぬ者。さらなる危機へと進む者。彼らは人生の「正午(頂点)」を必死になって探し求める。
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ハンス・ブリンクマン(著)
溝口広美(訳)
新風舎(2005年)
ISBN: 4-7974-4999-3 C0095
~内容の紹介~
昭和25年の冬にはじめて日本にやって来た18才の青年(ブリンクマン)が、アメリカの占領下にあった日本の貧しい暮らしに驚きながらも、日本は必ず立ち直ると直感し日本に魅せられ、やがて国文学専攻の学生と見合い結婚。いやいやながら銀行勤めを続ける一方で、新婚生活と仕事を通して体験した様々な困難や日々の暮らしの中で見い出した喜びや幸せもあり、そうした回想が東京オリンピックや大阪万博などのエピソードとともに綴られている。昭和世代のみならず、昭和を知らない世代にも楽しめる本。
~書評より~
「一ビジネスマンとして日本の復興に青春をささげたハンスの言葉は、どんな評論家とも違う説得力をもって響くはずだ。」最相葉月(2005年(平成17年)4月24日付け朝日新聞の読書欄より)
「ジャンルを問わず、人におすすめしたい名著である。」最相葉月(雑誌『みすず』2006年1・2月号)
~コメント~
SAPIO(小学館)2005年5月25日号の「著者と語る肖像」(44ページ)では、ブリンクマン氏が戦後昭和の日本人を深く理解し、彼らを的確に表現していると絶賛!
森里陽一氏(社会生態学研究者)は雑誌『信用組合』(2005年4月)の書評欄(65ページ)で『まがたま模様の落書き』を吉田兼好の『徒然草』や鴨長明の『方丈記』のような、自己や人生を深く考えさせてくれる随筆として推薦!
『あとらす』47・48号
「あとらす」30号(2014年7月刊行)から連載中の私のエッセイに共通するテーマは、有名無名に関わらず、私自身が感銘をうけた人物、あるいはそうした人たちの生き方と言えましょう。今回のエッセイで取り上げた原元富雄君も、私に強烈な印象を残した個性豊かな人でした。
『あとらす』46号
「あとらす」30号(2014年7月刊行)から連載中の私のエッセイに共通するテーマは、有名無名に関わらず、私自身が感銘をうけた人物、あるいはそうした人たちの生き方と言えましょう。今回のエッセイで取り上げた原元富雄君も、私に強烈な印象を残した個性豊かな人でした。
『あとらす』45号
日本文学研究者のエドワード・サイデンステッカーが訳した川端康成や谷崎潤一郎の小説を読みながら日本文化に親しんだわたしは、大晦日の京都でばったり、当人と遭遇したことがある。しかも、ちょっと珍しい人がからんでいたものだから、ただではすまなかった。
『あとらす』44号
かつて「たまきく」と呼ばれ、大富豪から女学生までをも魅了した美しい芸者だったその女性は、私の人生において、わずかながらも重大な役割を果たしてくれた。彼女の生涯は哀れだったかもしれないが、目に見えないどこかで徳は成されるということを教えてくれるものでもあった。…
『あとらす』43号
東京オリンピックが開催された1964年に、アンコールワットで偶然出会ったアメリカ人建築家との長きにわたる交流を綴る。ミシガン州カラマズー出身の彼は写真家でもありライターでもあり、日本の著名な映画監督に影響を与えもした。
『あとらす』42号
昭和25年11月からナショナル・ハンデルス銀行の神戸支店の6人目のオランダ人として働きはじめたブリンクマン。職場にはオランダ人から「ビッグW」と呼ばれ一目置かれていた人物がいた。18歳のブリンクマンは「ビッグW」こと矮松岩一さんから、多くのことを学ぶのであった。個人的な思い出や心に浮かぶ情景を繊細に綴った本エッセイを、『あとらす』編集長は 「「ビッグW」への手向け、紙碑」と絶賛。
『あとらす』41号
オランダ人ミステリー作家のヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリンクと親交のあったブリンクマンが、ミステリー作家に至るまでのヤンウィレムの足跡をたどりながら、彼と日本とのつながりを綴る。
『あとらす』40号
カリブ海に浮かぶキュラソー島での暮らしを回想するエッセイ。「癒しの島」という意味のキュラソー島で、ブリンクマンと妻の豊子は、一体なにを発見したのか。
『あとらす』39号
2016年パシフィック・リム・ブックフェスティバル文学賞選外佳作賞を受賞したブリンクマンの短編小説集The Tomb in the Kyoto Hillsに掲載されているTwice upon a Plum Treeの邦訳。
『あとらす』38号 (2018年7月25日発売)
東京オリンピック直前の1964年夏に、ブリンクマンのもとを訪れた、とある英国紳士の思い出を綴ったエッセイ。日本と縁のあったこの人物をブリンクマンは、いかにして、もてなしたのか。
『あとらす』37号 (2018年1月25日発売)
全米外国銀行の銀行協会会長として、ジェイク・ガーン上院議員に陳情した時の思い出を綴ったエッセイ。宇宙から戻ったばかりの上院議員とのドッキングは、果たして、成功したのだろうか。
『あとらす』36号 (2017年7月25日発売)
連載8回目のエピソードの主人公は、シドニーからロンドンへ向かう飛行機で隣り合わせになったヒルトン博士。真面目な功績を残した博士の「奇妙な趣味」とは何か。
『あとらす』35号 (2017年1月25日発売)
愛犬家の妻と愛猫家の夫の結婚生活は、一見すると順調であるかのように思えた。しかし、募る不満が、富士山のふもとで、ついに頂点に達する。そんな夫婦を待ち受けていた出来事とは…。2016年パシフィック・リム・ブックフェスティバル文学賞選外佳作賞を受賞したブリンクマンの短編小説集The Tomb in the Kyoto Hills and other storiesに収められている。Pets in Marriageの邦訳。
『あとらす』34号 (2016年7月25日発売)
1963年にはオランダの王女、1987年には女王として出会ったベアトリクス。彼女と交わした会話から、意外な人物像が浮かび上がってくる。共和国としての歴史を経て王国となったオランダの歴史と、オランダ王室についての興味深いエッセイ。
『あとらす』33号 (2016年1月25日発売)
1961年から66年まで駐日アメリカ大使を務めたエドウィン・O・ライシャワー博士。壊れた日米関係を修復するために、ケネディ大統領から任命されたライシャワー大使との出会いを、ブリンクマンが振り返る。
『あとらす』32号 (2015年7月25日発売)
終戦70周年によせて、ブリンクマンが綴ったエッセイ。日本軍戦闘機の部品の一部に使用されていた“とある物”を手にした途端、爆撃と飢餓に苦しめられたドイツ占領下のオランダで過ごした少年期、両親のこと、ドイツ兵のことなどが思い出され、さらに終戦直後の神戸で見た悲惨な光景が記憶の彼方からよみがえる。そうした回想の果てにたどり着いた真実とは。
『あとらす』31号 (2015年1月25日発売)
オランダの総合家電メーカー、フィリップス社と提携を組んだ松下電器の創業者松下幸之助はオランダとゆかりが深かった。1967年1月、東京の邸宅でオランダ人の送別ホームパーティーが開かれ、そこでブリンクマンは松下氏の意外かつ痛快な一面を目撃することになるのだった。
『あとらす』30号 (2014年7月25日発売)
1961年にオランダに一時帰国をした時、人智学協会が運営する高級老人ホームの所長を務めるルビエンスキー伯爵と出会った。かつて日本で暮らしていたというルビエンスキー。彼はなぜ日本にやって来たのか。そして、関東大震災を体験した彼のその後の人生とは。
© 2006 ハンス・ブリンクマン/溝口広美